令和2年(2020)第1節 麻酔料


目次

L000 迷もう麻酔 31点

通知
(1) 迷もう麻酔とは、吸入麻酔であって、実施時間が 10 分未満のものをいう。なお、迷もう麻酔の実施時間は、麻酔薬の吸入を最初に行った時間を開始時間とし、検査、画像診断、処置又は手術が終了した時点を終了時間とする。

(2) ガス麻酔器を使用する 10 分未満の麻酔は、本区分により算定する。なお、ガス麻酔器を使用する麻酔の実施時間は、麻酔器を患者に接続した時間を開始時間とし、当該麻酔器から離脱した時間を終了時間とする。

L001 筋肉注射による全身麻酔、注腸による麻酔 120点

L001-2 静脈麻酔

1 短時間のもの 120点

2 十分な体制で行われる長時間のもの(単純な場合) 600点

3 十分な体制で行われる長時間のもの(複雑な場合) 1,100点


1 3歳以上6歳未満の幼児に対して静脈麻酔を行った場合は、幼児加算として、所定点数にそれぞれ所定点数の100分の10に相当する点数を加算する。

2 3については、静脈麻酔の実施時間が2時間を超えた場合は、麻酔管理時間加算として、100点を所定点数に加算する。

通知
(1) 静脈麻酔とは、静脈注射用麻酔剤を用いた全身麻酔であり、意識消失を伴うものをいう。

(2) 「1」は、静脈麻酔の実施の下、検査、画像診断、処置又は手術が行われた場合であって、麻酔の実施時間が 10 分未満の場合に算定する。

(3) 「2」及び「3」は、静脈注射用麻酔剤を用いた全身麻酔を 10 分以上行った場合であって、区分番号L008マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔以外の静脈麻酔が行われた場合に算定する。ただし、安全性の観点から、呼吸抑制等が起きた場合等には速やかにマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔に移行できる十分な準備を行った上で、医療機器等を用いて十分な監視下で行わなければならない。

(4) 「3」に規定する複雑な場合とは、常勤の麻酔科医が専従で当該麻酔を実施した場合をいう。

(5) 静脈麻酔の実施時間は、静脈注射用麻酔剤を最初に投与した時間を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術が終了した時間を終了時間とする。

(6) 「注1」における所定点数とは、「注2」における加算点数を合算した点数をいう。

L002 硬膜外麻酔

1 頸・胸部 1,500点

2 腰部 800点

3 仙骨部 340点


実施時間が2時間を超えた場合は、麻酔管理時間加算として、30分又はその端数を増すごとに、それぞれ750点、400点、170点を所定点数に加算する。

通知
(1) 実施時間は、硬膜外腔に当該麻酔を施行するために局所麻酔剤を注入した時点を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術の終了した時点を終了時間として計算する。

(2) 第 12 胸椎と第1腰椎の間より硬膜外針を刺入した場合は「1」で算定する。また、第5腰椎と第1仙椎の間より硬膜外針を刺入した場合は「2」で算定する。

L003 硬膜外麻酔後における局所麻酔剤の持続的注入(1日につき)(麻酔当日を除く。)80点


精密持続注入を行った場合は、精密持続注入加算として、1日につき80点を所定点数に加算する。

通知
精密持続注入とは、自動注入ポンプを用いて1時間に 10mL 以下の速度で局所麻酔剤を注入するものをいう。

L004 脊椎麻酔 850点


実施時間が2時間を超えた場合は、麻酔管理時間加算として、30分又はその端数を増すごとに、128点を所定点数に加算する。

通知
実施時間は、くも膜下腔に局所麻酔剤を注入した時点を開始時間とし、当該検査、画像診断、処置又は手術の終了した時点を終了時間として計算する。

L005 上・下肢伝達麻酔 170点

通知
(1) 上肢伝達麻酔は、検査、画像診断、処置又は手術のために腕神経叢の麻酔を行った場合に算定する。

(2) 下肢伝達麻酔は、検査、画像診断、処置又は手術のために少なくとも坐骨神経及び大腿神経の麻酔を行った場合に算定する。

L006 球後麻酔及び顔面・頭頸部の伝達麻酔(瞬目麻酔及び眼輪筋内浸潤麻酔を含む。) 150点

通知
球後麻酔と顔面伝達麻酔を同時に行った場合は、主たるもののみで算定し、重複して算定できない。

L007 開放点滴式全身麻酔 310点

通知
ガス麻酔器を使用する 10 分以上 20 分未満の麻酔は、本区分により算定する。なお、ガス麻酔器を使用する麻酔の実施時間は、麻酔器に接続した時間を開始時間とし、当該麻酔器から離脱した時間を終了時間とする。

L008 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔

1 人工心肺を用い低体温で行う心臓手術、区分番号K552-2に掲げる冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)であって低体温で行うものが行われる場合又は分離肺換気及び高頻度換気法が併施される麻酔の場合

イ 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合 24,900点

ロ イ以外の場合 18,200点

2 坐位における脳脊髄手術、人工心肺を用いる心臓手術(低体温で行うものを除く。)若しくは区分番号K552-2に掲げる冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺を使用しないもの)(低体温で行うものを除く。)が行われる場合又は低血圧麻酔、低体温麻酔、分離肺換気による麻酔若しくは高頻度換気法による麻酔の場合(1に掲げる場合を除く。)

イ 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合 16,600点

ロ イ以外の場合 12,100点

3 1若しくは2以外の心臓手術が行われる場合又は伏臥位で麻酔が行われる場合(が1又は2に掲げる場合を除く。)

イ 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合12,450点

ロ イ以外の場合 9,050点

4 腹腔鏡を用いた手術若しくは検査が行われる場合又は側臥位で麻酔が行われる場合(1から3までに掲げる場合を除く。)

イ 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合 9,130点

ロ イ以外の場合 6,610点

5 その他の場合

イ 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者に行う場合 8,300点

ロ イ以外の場合 6,000点


1 一の当該全身麻酔において複数の項目に係る手術等が行われる場合には、最も高い点数の項目により算定する。

2 全身麻酔の実施時間が2時間を超えた場合は、麻酔管理時間加算として、30分又はその端数を増すごとに、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 1に掲げる項目に係る手術等により実施時間が2時間を超えた場合 1,800点
ロ 2に掲げる項目に係る手術等により実施時間が2時間を超えた場合 1,200点
ハ 3に掲げる項目に係る手術等により実施時間が2時間を超えた場合 900点
ニ 4に掲げる項目に係る手術等により実施時間が2時間を超えた場合 660点
ホ 5に掲げる項目に係る手術等により実施時間が2時間を超えた場合 600点

3 酸素を使用した場合は、その価格を10円で除して得た点数(酸素と併せて窒素を使用した場合は、それぞれの価格を10円で除して得た点数を合算した点数)を加算する。酸素及び窒素の価格は、別に厚生労働大臣が定める。

4 硬膜外麻酔を併せて行った場合は、硬膜外麻酔併施加算として、次に掲げる点数を所定点数に加算する。
イ 頸・胸部 750点
ロ 腰部 400点
ハ 仙骨部 170点

5 注4について、硬膜外麻酔の実施時間が2時間を超えた場合は、麻酔管理時間加算として、30分又はその端数を増すごとに、注4のイからハまでに掲げる点数にそれぞれ375点、200点、85点を更に所定点数に加算する。

6 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔と同一日に行った区分番号D220に掲げる呼吸心拍監視の費用は、所定点数に含まれるものとする。

7 心臓手術が行われる場合若しくは別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者のうち冠動脈疾患若しくは弁膜症のものに行われる場合又は弁膜症のものに対するカテーテルを用いた経皮的心臓手術が行われる場合において、術中に経食道心エコー法を行った場合には、術中経食道心エコー連続監視加算として、880点又は1,500点を所定点数に加算する。

8 同種臓器移植術(生体を除く。)の麻酔を行った場合は、臓器移植術加算として、15,250点を所定点数に加算する。

9 区分番号L100に掲げる神経ブロックを併せて行った場合は、神経ブロック併施加算として、次に掲げる点数をそれぞれ所定点数に加算する。ただし、イを算定する場合は、注4及び注5に規定する加算は別に算定できない。
イ 別に厚生労働大臣が定める患者に対して行う場合 450点
ロ イ以外の場合 45点

10 別に厚生労働大臣が定める麻酔が困難な患者について、腹腔鏡下手術(区分番号K672-2に掲げる腹腔鏡下胆嚢摘出術及びK718-2に掲げる腹腔鏡下虫垂切除術を除く。)が行われる場合において、術中に非侵襲的血行動態モニタリングを実施した場合に、非侵襲的血行動態モニタリング加算として、500点を所定点数に加算する。

11 区分番号K609に掲げる動脈血栓内膜摘出術(内頸動脈に限る。)又は人工心肺を用いる心臓血管手術において、術中に非侵襲的に脳灌流のモニタリングを実施した場合に、術中脳灌流モニタリング加算として、1,000点を所定点数に加算する。

通知
(1) ガス麻酔器を使用する閉鎖式・半閉鎖式等の全身麻酔を 20 分以上実施した場合は、本区分により算定する。

(2) 静脈注射用麻酔剤を用いて全身麻酔を実施した場合であって、マスク又は気管内挿管による酸素吸入又は酸素・亜酸化窒素混合ガス吸入と併用する場合は、20 分以上実施した場合は、本区分により算定する。

(3) 本区分の全身麻酔の実施時間は、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を患者に接続した時点を開始時間とし、患者が当該麻酔器から離脱した時点を終了時間とする。なお、これ以外の観察等の時間は実施時間に含めない。

(4) 麻酔が困難な患者とは、以下に掲げるものをいい、麻酔前の状態により評価する。
ア 心不全(NYHAⅢ度以上のものに限る。)の患者
イ 狭心症(CCS 分類Ⅲ度以上のものに限る。)の患者
ウ 心筋梗塞(発症後3月以内のものに限る。)の患者
エ 大動脈閉鎖不全、僧帽弁閉鎖不全又は三尖弁閉鎖不全(いずれも中等度以上のものに限る。)の患者
オ 大動脈弁狭窄(経大動脈弁血流速度 4m/秒以上、大動脈弁平均圧較差 40mmHg 以上又は大動脈弁口面積 1 ㎠以下のものに限る。)又は僧帽弁狭窄(僧帽弁口面積 1.5 ㎠以下のものに限る。)の患者
カ 植込型ペースメーカー又は植込型除細動器を使用している患者
キ 先天性心疾患(心臓カテーテル検査により平均肺動脈圧 25mmHg 以上であるもの又は、心臓超音波検査によりそれに相当する肺高血圧が診断されているものに限る。)の患者
ク 肺動脈性肺高血圧症(心臓カテーテル検査により平均肺動脈圧 25mmHg 以上であるもの又は、心臓超音波検査によりそれに相当する肺高血圧が診断されているものに限る。)の患者
ケ 呼吸不全(動脈血酸素分圧 60mmHg 未満又は動脈血酸素分圧・吸入気酸素分画比 300未満のものに限る。)の患者
コ 換気障害(1秒率 70%未満かつ肺活量比 70%未満のものに限る。)の患者
サ 気管支喘息(治療が行われているにもかかわらず、中発作以上の発作を繰り返すものに限る。)の患者
シ 糖尿病(HbA1c が JDS 値で 8.0%以上(NGSP 値で 8.4%以上)、空腹時血糖 160mg/dL以上又は食後2時間血糖 220mg/dL 以上のものに限る。)の患者
ス 腎不全(血清クレアチニン値 4.0mg/dL 以上のものに限る。)の患者
セ 肝不全(Child-Pugh 分類 B 以上のものに限る。)の患者
ソ 貧血(Hb6.0g/dL 未満のものに限る。)の患者
タ 血液凝固能低下(PT-INR2.0 以上のものに限る。)の患者
チ DIC の患者
ツ 血小板減少(血小板5万/uL 未満のものに限る。)の患者
テ 敗血症(SIRS を伴うものに限る。)の患者
ト ショック状態(収縮期血圧 90mmHg 未満のものに限る。)の患者
ナ 完全脊髄損傷(第5胸椎より高位のものに限る。)の患者
ニ 心肺補助を行っている患者
ヌ 人工呼吸を行っている患者
ネ 透析を行っている患者
ノ 大動脈内バルーンパンピングを行っている患者
ハ BMI35 以上の患者

(5) (4)の場合に該当し、本区分1から5までのイに掲げる点数により算定する場合にあっては、(4)のアからハまでの中から該当する状態を診療報酬明細書の摘要欄に記載する。

(6) 流量計を装置した酸素ボンベ及びエーテル蒸発装置を使用し、気管内チューブ挿入吹送法又はノンレブリージングバルブを使用して麻酔を維持した場合は本区分により算定できる。

(7) 本区分について「通則3」の加算を算定する場合の所定点数は、「注2」、「注4」、「注5」及び「注7」による加算を含むものとする。

(8) 麻酔の種類等について
ア 「心臓手術」とは、開胸式心大血管手術をいう。
イ 「低血圧麻酔」とは、手術操作を安全にし、出血量を減少させる目的で、脳動脈瘤手術や出血しやすい手術の際に、低血圧の状態を維持する麻酔をいう。なお、この場合の「低血圧」とは概ね、患者の通常収縮期血圧の 60%又は平均動脈圧で 60~70mmHgを標準とする。
ウ 「高頻度換気法」とは、特殊な換気装置を使用し、1回換気量を少なくし、換気回数を著しく増加させた換気法をいう。なお、この場合の「換気回数」は概ね1分間に 60 回以上である。
エ 「低体温麻酔」は、重度脳障害患者への治療的低体温では算定できない。

(9) 麻酔の種類等における実施時間について
ア 「低体温麻酔」については、クーリングを開始した時点から復温する時点までをいう。
イ 「低血圧麻酔」については、人為的低血圧を開始した時点から低血圧を離脱する時点までをいう。
ウ 「高頻度換気法による麻酔」については、特殊な換気装置を作動させた時点から終了させた時点までをいう。
エ 「人工心肺を使用した麻酔」については、人工心肺装置に接続し装置を動かし始めた時点から装置を停止した時点までをいう。

(10) 複数の点数に分類される麻酔や手術が一の全身麻酔の中で行われる場合においては、行われた麻酔の中で最も高い点数のものを算定する。なお、ここでいう一の全身麻酔とは、当該麻酔を行うために閉鎖循環式全身麻酔器を接続した時点を開始とし、患者が麻酔器から離脱した時点を終了とする麻酔をいう。

(11) 臓器移植術加算は、K514-4同種死体肺移植術、K605-2同種心移植術、K605-4同種心肺移植術、K697-7同種死体肝移植術、K709-3同種死体膵移植術、K709-5同種死体膵腎移植術、K716-6同種死体小腸移植術又はK780同種死体腎移植術が算定できる場合に限り算定する。

(12) 麻酔の実施時間
ア 全身麻酔の実施時間は、(3)により計算する。
イ 当該麻酔の開始時間及び終了時間を麻酔記録に記載すること。
ウ 複数の点数の区分に当たる麻酔が行われた場合は、以下のように算定する。
(イ) 同じ点数区分にある麻酔の時間について合算する。
(ロ) 麻酔時間の基本となる2時間については、その点数の高い区分の麻酔時間から順に充当する。
(ハ) (ロ)の計算を行った残りの時間について、それぞれ「注2」の規定に従い 30 分又はその端数を増すごとに加算を行う。
(ニ) (ハ)の場合において、各々の区分に係る麻酔が 30 分を超えない場合については、それらの麻酔の実施時間を合計し、その中で実施時間の長い区分から順に加算を算定する。なお、いずれの麻酔の実施時間も等しい場合には、その中で最も高い点数の区分に係る加算を算定する。
例1 麻酔が困難な患者以外の患者に対し、次の麻酔を行った場合
① 最初に仰臥位で 10 分間
② 次に伏臥位で2時間 30 分間
③ 最後に仰臥位で 20 分間
の計3時間の麻酔を行った場合
基本となる2時間に②の2時間を充当 9,050点
②の残り 30 分の加算 900点
仰臥位で行われた①と③を合計して 30 分の加算 600点
算定点数 10,550点
例2 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合
① 最初に仰臥位で 10 分間
② 次に側臥位で1時間 20 分間
③ 最後に仰臥位で 47 分間
の計2時間 17 分の麻酔を行った場合
基本となる2時間に②の1時間 20 分+①と③の 57 分のうち 40 分 9,130点
①と③の残り 17 分の加算 600点
算定点数 9,730点
例3 麻酔が困難な患者に対し、次の麻酔を行った場合
① 最初に仰臥位で5分間
② 次に側臥位で 21 分間
③ 次に分離肺換気で1時間 27 分間
④ 次に側臥位で 30 分間
⑤ 最後に仰臥位で5分間
の計2時間 28 分の麻酔を行った場合
基本となる2時間に③の1時間 27 分+②と④の 51 分のうち 33 分 16,600点
②と④の残り 18 分+①と⑤の 10 分の合計 28 分の加算 660点
算定点数 17,260点
例4 麻酔が困難な患者に対し、次の心臓手術の麻酔を行った場合
① 最初に仰臥位で 10 分間
② 次に心臓手術を人工心肺装置を使用せずに 45 分間
③ 次に心臓手術を人工心肺装置を使用して2時間 25 分間
④ 次に心臓手術を人工心肺装置を使用せずに1時間
⑤ 最後に仰臥位で 10 分間
の計4時間 30 分の麻酔を行った場合
基本となる2時間に③の2時間を充当 16,600点
②+④で1時間 45 分となり、このうち 30 分×3の加算 2,700点
③の残り 25 分間に④の残り 15 分間のうち5分間を加算 1,200点
①+⑤の 20 分間に④の残り 10 分間を加算 600点
算定点数 21,100点

(13) 酸素・窒素(注3)
ア 酸素又は窒素の価格は、「酸素及び窒素の価格」(平成2年厚生省告示第 41 号)の定めるところによる。
イ 酸素及び窒素を動力源とする閉鎖循環式麻酔装置を使用して全身麻酔を施行した場合、動力源として消費される酸素及び窒素の費用は、「注3」の加算として算定できない。

(14) 硬膜外麻酔併施加算(注4)
硬膜外麻酔を併せて行った場合は、その区分に応じて「注4」に掲げる点数を所定点数に加算し、さらにその実施時間に応じて「注5」に規定する加算を算定する。

(15) 所定点数に含まれる費用
ア 本区分の麻酔法の際に使用するソーダライム等の二酸化炭素吸着剤の費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。
イ 区分番号D220呼吸心拍監視、新生児心拍・呼吸監視、カルジオスコープ(ハートスコープ)、カルジオタコスコープの検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、当該検査に要する費用は別に算定できない。
ウ 体温(深部体温を含む。)測定の検査に要する費用は本区分の所定点数に含まれ、別に算定できない。
エ 経皮的動脈血酸素飽和度測定又は終末呼気炭酸ガス濃度測定に要する費用は所定点数に含まれ、本区分の所定点数を算定した同一日においては、麻酔の前後にかかわらず、経皮的動脈血酸素飽和度測定及び終末呼気炭酸ガス濃度測定は別に算定できない。

(16) 「注7」に規定する術中経食道心エコー連続監視加算は、手術患者の心臓機能を評価する目的で経食道心エコー法を行った場合に算定できる。

(17) 「注7」でいう、麻酔が困難な患者のうち冠動脈疾患又は弁膜症の患者とは、(4)のイ、ウ、エ、オに掲げるものをいい、麻酔前の状態により評価する。

(18) 神経ブロックを超音波ガイド下に併せて行った場合は、「注9」に掲げる点数を所定点数に加算する。この際、硬膜外麻酔の適応となる手術(開胸、開腹、関節置換手術等)を受ける患者であって、当該患者の併存疾患や状態等(服用する薬により硬膜外麻酔が行えない場合を含む。)を踏まえ、硬膜外麻酔の代替として神経ブロックを行う医学的必要性があるものに対して実施する場合は「イ」に掲げる点数を、それ以外の患者(硬膜外麻酔の適応とならない手術を受ける患者を含む。)に対して実施する場合は「ロ」に掲げる点数を、それぞれ所定点数に加算する。なお、「イ」の加算を算定する場合は、硬膜外麻酔の代替として神経ブロックを行う医学的必要性を、診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

(19) 「注 10」に規定する非侵襲的血行動態モニタリング加算は、動脈圧測定用カテーテル、サーモダイリューション用カテーテル、体外式連続心拍出量測定用センサー等を用いた侵襲的モニタリングが実施されている場合には、算定できない。

(20) 「注 11」に規定する術中脳灌流モニタリング加算は、近赤外光を用いて非侵襲的かつ連続的に脳灌流のモニタリングを実施した場合に算定できる。

L008-2 低体温療法(1日につき) 12,200点


1 低体温療法を開始してから3日間を限度として算定する。

2 心肺蘇生中に咽頭冷却装置を使用して低体温療法を開始した場合は、低体温迅速導入加算として、5,000点を所定点数に加算する。

通知
(1) 低体温療法は、心肺蘇生後の患者に対し、直腸温 35℃以下で 12 時間以上維持した場合に、開始日から3日間に限り算定する。

(2) 重度脳障害患者への治療的低体温の場合は算定できない。

(3) 当該点数を算定するに当たり、必ずしも手術を伴う必要はない。

(4) 低体温迅速導入加算は、目撃された心停止発症後 15 分以内に医療従事者による蘇生術が開始された心停止患者に対して、心拍再開の 15 分後までに咽頭冷却装置を用いて低体温を導入した場合に算定できる。低体温迅速導入加算の算定に当たっては、診療報酬明細書に症状詳記を添付する。

(5) 中心静脈留置型経皮的体温調節装置システムを用いる場合、G005-2に掲げる中心静脈注射用カテーテル挿入は所定点数に含まれ、別に算定できない。

L008-3 経皮的体温調節療法(一連につき) 5,000点

通知
経皮的体温調節療法は、集中治療室等において、くも膜下出血、頭部外傷又は熱中症による急性重症脳障害を伴う発熱患者に対して、中心静脈留置型経皮的体温調節装置を用いて体温調節を行った場合に、一連につき1回に限り算定する。

L009 麻酔管理料(Ⅰ)

1 硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を行った場合 250点

2 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合 1,050点


1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、当該保険医療機関の麻酔に従事する医師(麻酔科につき医療法第6条の6第1項に規定する厚生労働大臣の許可を受けた者に限る。)が行った場合に算定する。

2 1について、帝王切開術の麻酔を行った場合は、帝王切開術時麻酔加算として、700点を所定点数に加算する。

3 区分番号L010に掲げる麻酔管理料(Ⅱ)を算定している場合は算定できない。

4 区分番号K017、K020、K136-2、K142-2の1、K151-2、K154-2、K169の1、K172、K175の2、K177、K314の2、K379-2の2、K394の2、K395、K403の2、K415の2、K514の9、K514-4、K519、K529の1、K529-2の1、K529-2の2、K552、K553の3、K553-2の2、K553-2の3、K555の3、K558、K560の1のイからK560の1のハまで、K560の2、K560の3のイからK560の3のニまで、K560の4、K560の5、K560-2の2のニ、K567の3、K579-2の2、K580の2、K581の3、K582の2、K582の3、K583、K584の2、K585、K586の2、K587、K592-2、K605-2、K605-4、K610の1、K645、K675の4、K675の5、K677-2の1、K695の4から7まで、K697-5、K697-7、K703、K704、K801の1、K803の2、K803の4及びK803-2に掲げる手術に当たって、区分番号L008に掲げるマスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の実施時間が8時間を超えた場合は、長時間麻酔管理加算として、7,500点を所定点数に加算する。

通知
(1) 当該点数は、麻酔科標榜医により、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。

(2) 麻酔管理料(Ⅰ)は厚生労働大臣が定める施設基準に適合している麻酔科を標榜する保険医療機関において、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医(地方厚生(支)局長に届け出ている医師に限る。以下この項において同じ。)が麻酔前後の診察を行い、かつ専ら当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医が区分番号L002硬膜外麻酔、区分番号L004脊椎麻酔又は区分番号L008マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に算定する。なお、この場合において、緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない。

(3) 麻酔科標榜医が、麻酔科標榜医以外の医師と共同して麻酔を実施する場合においては、麻酔科標榜医が、当該麻酔を通じ、麻酔中の患者と同室内で麻酔管理に当たり、主要な麻酔手技を自ら実施した場合に算定する。

(4) 麻酔管理料(Ⅰ)を算定する場合には、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(5) 麻酔管理料(Ⅰ)について、「通則2」及び「通則3」の加算は適用しない。

L010 麻酔管理料(Ⅱ)

1 硬膜外麻酔又は脊椎麻酔を行った場合 150点

2 マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合 450点


別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において行った場合に算定する。

通知
(1) 当該点数は、複数の麻酔科標榜医により麻酔の安全管理体制が確保され、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。

(2) 麻酔管理料(Ⅱ)は厚生労働大臣が定める施設基準に適合している麻酔科を標榜する保険医療機関において、当該保険医療機関において常態として週3日以上かつ週 22 時間以上の勤務を行っている医師であって、当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医の指導の下に麻酔を担当するもの(以下この区分番号において、単に「担当医師」という。)又は当該保険医療機関の常勤の麻酔科標榜医が、麻酔前後の診察を行い、担当医師が、区分番号L002硬膜外麻酔、区分番号L004脊椎麻酔又は区分番号L008マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を行った場合に算定する。なお、この場合において、緊急の場合を除き、麻酔前後の診察は、当該麻酔を実施した日以外に行われなければならない。また、麻酔前後の診察を麻酔科標榜医が行った場合、当該麻酔科標榜医は、診察の内容を担当医師に共有すること。

(3) 主要な麻酔手技を実施する際には、麻酔科標榜医の管理下で行わなければならない。この場合、当該麻酔科標榜医は、麻酔中の患者と同室内にいる必要があること。

(4) 担当医師が実施する一部の行為を、麻酔中の患者の看護に係る適切な研修を修了した常勤看護師が実施しても差し支えないものとする。また、この場合において、麻酔前後の診察を行った担当医師又は麻酔科標榜医は、当該診察の内容を当該看護師に共有すること。

(5) 麻酔管理料(Ⅱ)を算定する場合には、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(6) 麻酔管理料(Ⅱ)について、「通則2」及び「通則3」の加算は適用しない。

(7) 同一の患者について、麻酔管理料(Ⅰ)と麻酔管理料(Ⅱ)を併算定することはできないが、同一保険医療機関において麻酔管理料(Ⅰ)と麻酔管理料(Ⅱ)の双方を異なる患者に算定することは可能であること。